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電通総研、RAG機能を強化した自治体向け生成AIサービス「minnect AIアシスト」

利用浸透施策やオンボーディングサービスも拡充

 株式会社電通総研は1日、自治体向けソリューション「minnectシリーズ」で提供している、LGWAN(総合行政ネットワーク)上で利用可能な生成AIサービス「minnect(ミネクト) AIアシスト」の新版を、同日より提供開始すると発表した。RAG(検索拡張生成)機能において、ドキュメントの内容を事前に登録しておくインデックス数を増加させたほか、インターネット検索の結果を生成AIの応答に反映させるグラウンディング対応など、さまざまな機能強化が行われている。

 minnect AIアシストは、自治体職員が通常業務を行うLGWAN上での生成AI利用を通じて、庁内業務の効率化を支援するサービス。

 今回の新版では、RAG機能で使用するデータベースを分散型データベースへと変更し、利用可能なインデックス数の上限を従来の3から10に増加させた。これによって、より多くの情報を基に生成AIが回答できるようになるという。

 さらにマルチモーダル機能が強化され、以前から対応してたGeminiモデルに加えて、GPTモデルでもチャットへのファイル添付が可能になった。対応ファイル形式としては、自治体業務で多く利用されるWord文書も追加されている。

 セキュリティ面では、従来のプロンプト入力時の正規表現による検知に加え、出力されたテキストに対する個人情報(名前、住所、電話番号など)の検知とマスキングが可能になった。画像やグラフ等のマルチモーダルやRAGで情報を付与した際など、参照データを利用した出力で、意図せず個人情報が出力されるリスクを低減するとのこと。

 またハルシネーション(誤情報生成)対策として、生成AIが回答を生成する際にインターネット検索を利用することで、ハルシネーションのリスク低減を図る仕組みを導入する。GeminiモデルではGoogle検索の結果を利用できるようになり、LGWAN環境でも安全に最新情報を活用した回答生成が可能になるとしている。

 このほか、「minnect AIアシスト」でユーザーグループを作成し、グループ単位でのユーザー管理に対応させることで、生成AIの対話内容をユーザーが所属するグループに共有したり、自治体ごと・機能ごとに利用する大規模言語モデル(LLM)のデフォルトモデルを設定したり、といったことも可能になった。

 なお機能強化以外では、利用浸透施策やオンボーディングの強化といった伴走支援サービスが拡充された。具体的には、「システムに登録したが、利用していない」「数回利用して離脱してしまった」といったユーザーをフォローする仕組みや、庁内告知用のチラシ、ゴールデンプロンプトデータの提供をサービスメニューとして新たに追加。「ほかの自治体がどのように活用しているか知りたい」「事例を聞きたい」という自治体向けに「minnect AIアシスト ユーザー会」を立ち上げ、活用事例共有や座談会などの情報交換の場を提供するとしている。